【本】仮想儀礼 上下

 2009-05-31
篠田節子 (新潮社)
★★★☆☆

人生に失敗した二人の男が、ビジネスとしての宗教を立ち上げた。
信者が三十人いれば、食っていける。五百人いれば、ベンツに乗れる― そんな軽〜い気持ちでネットから始めたその宗教に、のっけからヘビーなお客(?)が次々と現れる。

確かに宗教は簡単に始められる商売かもしれない。
そして今の世の中、ニーズは決して少なくないだろう。
ちょっとツボ(壺ではない)に填ればあっという間に大きくなることも可能だろう。
だがその需要の大きさと多様さゆえ、扱いを間違えると思ってもみない展開になっていく。

やってくるお客、やってくるお客、皆、どこかに居そうな人達である。
昔なら小説の中でしか存在しないと思われていたような境遇も、今ではどこにあっても不思議でないので虚構感が薄い。
その重い境遇と悩みを軽い気持ちで受け入れていったら、どんなしっぺ返しに合うか。
宗教は生半可な覚悟でやってはいけない。

というのはかなりリアルに、ありそうな展開で描かれているのだが…。
本当に「ありそう」な展開、どこかで見たような展開が続いていくのが途中からどうも鼻について困った。
ドキュメンタリーでも読んでいるような既視感ゆえ、完全なフィクションな気がしない。
いったい作者は誰の目線で誰の側から書きたかったんだろう?

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