【本】裁判員法廷

 2008-07-12
芦辺拓 著 (文藝春秋)
★★★☆☆

芦辺拓の魅力は、目眩がするようなトリッキーさにあると思う。

昔「時の密室」や「グラン・ギニョール城」で感じた、
視界がグルッと回るような思いがけなさを期待して読み始めたのだが、
話は意外なほど淡々と進んで最初拍子抜けかつなかなか進まなかった。
期待したのが悪かったのか、面白味が薄いのだ。
でもそこはやっぱり芦辺作品。
連作で書き進めるうちに書き方が判ってきたのか尻上がりに面白くなって、
最後はやっぱりアッと言わされ目眩の中へ落とされましたよ。

もしかすると業界初の“裁判員”小説。
主人公は裁判員に選ばれた“あなた”。
裁判員の目線から法廷と評議が描かれる興味深い作品かと。
どのぐらい実際と違う部分があるかは判らないけれど、
来るべき裁判員制度の予習には充分なるものだと思われる。
ただただ起こることが淡々と書かれているのも、
良いことばっかりアピールするどっかのPRビデオと比較して好感が持てる。

ただ、「異議あり!」というフレーズがやたら連発されるのが気になるんだよね。
「異議あり!」といえば法廷シーンの象徴であり、法廷ゲームの決めゼリフ。
それが連発されることでどーもリアリティを疑ってしまうのがいささか難。
弁護士のみならず検事も連発してます。
本当の裁判でもあれほど「異議あり!」が登場するのか、
それさえ判ればすごく納得できるんだけどなぁ…。

ちなみに弁護士の名前は森江春策。
良い味出してますよ。

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【映】クライマーズ・ハイ

 2008-07-06
原田眞人 監督
★★★★☆

日航ジャンボ機便墜落事故を追う地元新聞社の
重く熱くストレートな物語。
架空の新聞社なのにドキュメントと錯覚しそうなリアル。
小さな人間達を飲み込んでいく巨大な山との対比が印象的。
是非大画面で。

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